「…誰も答えられねぇじゃねぇか。ま、今になって大崎の味方するほど、お前等もバカじゃねぇとは思ってたけどよ。」
沈黙を破り、そう言って礼二先輩は笑う。昔…、いや、秋田先輩がくる前、礼二先輩はこんな人じゃなかったはずなのに。
「何で…。何で先輩たちは、陽路ちゃんばかり悪者扱いするんだよ…」
ずっとうつむき、唇を噛みしめていた慈朗が、ぼそっとそう零す。震える手を握りしめ、先輩たちに背を向ると、部室に向かうために歩を進めようとした。
――刹那、
「おい慈朗。俺らを裏切るのか?」
治先輩が慈朗の背中に問いかけ、慈朗の足が止まる。そして慈朗は小さく息を吐き、ゆっくりと振り返った。

