「圭、いいから。あたしがやればすむことだし。」
そう言って、ぽんっと肩に置かれた手。
振り向くと、いつの間にか俺の後ろには、額に汗をにじませ、まだ微妙に呼吸が乱れている陽路先輩が立っていて。
「じゃ、一番奥のコートで紀彦・治ペアとやるから、早く来い。ラケットは俺の貸してやるよ。」
微かに口角をつり上げ、礼二先輩は一番奥のコートに向かう。
「あたしのために、圭が嫌われる必要なんてない。」
そして俺の耳元でそうささやき、礼二先輩のあとを追っていく陽路先輩。その後ろ姿を見ていると、自然と左足に目が止まった。

