「陽路ちゃん、痛いんでしょ?無理して走っちゃダメだよ!」
陽路先輩を追うようにして部室を出ると、視界に入ったのはコートを囲むフェンスの入り口付近で、必死に陽路先輩を説得している慈朗の姿。
「大丈夫だってば。心配しないでよ。ちゃんと走れるから。」
フェンスに寄りかかり、腕を組む陽路先輩は、そう言うと優しく慈朗の頭をなでる。有無を言わせぬその笑顔に、彼女のどうしようもない負けず嫌いが見え隠れした。
「美香にね、弱いところを見せちゃダメなんだよ。見せたら終わり、それであたしの負けなの。美香に屈したことになるの。」
「でも…」と言いかけた慈朗に、そう小さくつぶやいた陽路先輩。彼女には彼女なりの、戦い方があるんだと改めて感じた。

