君を守りたい


確かに心配しすぎかもしれない。だけど、最近元気のない陽路先輩見てたら、誰だって心配するだろうが。秋田先輩みたいに、ヘラヘラ笑ってなんていられねぇんだよ。


「陽路ちゃんだって、秋田先輩と同じ女の子だから。放ってなんておけないですよ。」


いつもの笑みを消し、珍しく敬語も交えながら、無表情に慈朗がそう呟く。そして秋田先輩の顔を見ようともせずに、彼女に背を向けた。


「…っ、阿久津君!もう練習始まるよ!?」


その背中へやけに必死で呼びかける秋田先輩に、慈朗は「練習より陽路ちゃんが大事だから。」とだけ言い放ち、部室に向かって走り去っていく。

そんな慈朗の背中を見送り、そっと秋田先輩の様子を窺えば、唇を噛みしめ、体が小刻みにふるえていて。落ち着かなく揺れる彼女の瞳が、ゆっくりと俺を捉えた。