「この状況で、白々しいんだよっ!」
確かにそうだ。白々しいのかもしれない。でもあたしは、本当に何もやってないんだよ。
だけど刹那、治の怒声とともに大きな音がしたと同時に、あたしの左頬に鈍い痛みが走った。
「治先輩!何やってんすか!?」
「落ち着いてください!」
「ダメです!」
…え、ちょ、何。つーかマジ痛いんだけど。
その場に座り込んだあたしは、揺れる視界の中、ただ呆然と貴司と緒太と健が懸命に治を押さえてる光景を眺めて…。
しだいに、意識が薄れていくのがわかる。でもさ、マジどんだけ強く殴ったわけ?これでも一応、あたし女なんだけど。
「…陽路ちゃん!」
あたしを呼ぶ慈朗の声が聞こえたと同時に、彼に支えられあたしは意識を手放した。

