君を守りたい


思わずうつむき、握りしめた拳。
それを震わせるあたしに、美香はさらに追い撃ちをかける。


「まぁ、楽しみにしてなよ。これからもっと面白くなるよ。みんな、あたしの味方だし。」

「…ふざけんなっ!」


でも。あたしがそう言ったところで、何も変わりやしない…否、変えられない。現に今、三年生はほとんどが美香の味方とみて、間違いないだろうから…。

黙っているあたしに、美香は一歩ずつ近づく。だんだん縮まる距離を、あたしはただ眺めるしかできなくて。


「あんたのすべて、奪ってあげる。」


耳元でそう、静かに強くささやかれた言葉。
刹那、美香はあたしにいつも通りの笑顔を見せた。

――そして。


「美香、陽路が嫌いなのぉ♪」


言葉とは不釣り合いな表情で、そう冷たく、でも楽しそうに言い放った美香。

―でも、勘違いしないでほしい。
言い返して、面倒なことに巻き込まれるのはごめんだから、今まで言わなかったけど。
嫌いなのは美香だけじゃない、お互い様だと心の中で毒づいてやった。