新学期が始まった。

新学期初日、僕は登校するなり、玲奈の靴箱に借りていたCDを押し込んだ。

もうこれで、完全に玲奈と切れたのだと思うと寂しくなった。

別にそれは未練なんかじゃない。


覚悟していた受験一色の毎日。

僕はひたすら机に向かった。


幸喜と健二が「息抜き」と称して国道に誘うこともあったけれど、僕はあっさりと断った。


息抜きする時間さえも惜しかった。

合格すれば、また柚羽さんに会える。

そんな思いでいっぱいだった。



「……まだあったんだ」



部屋の机の引き出しを開けると、あの人探しメモが顔を出す。

懐かしい気持ちに駆られながら、メモに目を通す。



【永輝】

その名を目にすると、切ない気持ちになった。