だ。
 
 
 だから、贅沢品を揃えているらしい。


 だが、喬のしている贅沢はあたしにとってみれば、また違った類のものだった。


 あたしは彼よりも数段上の、桁違いの奢侈(しゃし)・贅沢をしている。


 お金が続く限り、あたし自身が普通の人間の感覚から抜け出るのは難しいだろう。


 それにあたしは普段夜の街でしっかりと稼がせてもらっている。


 銀座は都内でも一風違った場所なのだ。


 夜な夜な人が集まり、金はどんどん降ってくるように落ちていく。


 あたしは銀座で金儲けするのだけでは飽き足らないで、今回喬とトルガブール島まで旅行に来たのだった。


 これはあたしが金銭面で満たされた結果、生じた欲望である。


 人間は食べるものと住むところを確保し、それが過ぎれば今度は楽しみ――いわゆるエンターテインメントへと比重が移るのだ。


 あたしは喬と過ごしながら、そこまで辿り着いたのだった。