そんな僕の視線に気付いた母が話しかけてきた。


「ねぇ、太郎。この汚れ何かしら? 落ちないのよ。まるでマジックか何かで書いたみたいに、またイタズラかしら?」


僕は「気にしなくていいんじゃない。どうせ見えないし」と云いながら、心の中ではこう答えていた。




(母さん、それは明らかに油性マジックで書かれた落書きだよ)と。