[angle:奈々]



「ねぇ奈々? キョウは一体何者なのかな」


放課後、いつものカフェにあたしと透はいた。


「ライアンが親元離れてまでキョウの家にお世話になるって……何で?」


目の前で頬杖をつきながら唸っている透は、最近キョウの話ばかり。


「興味ないわ」

「ですよねー……」


私の性格を分かりきっている透は、ひとりで妄想の世界に入っていった。


特に止めることもなくホットコーヒーを飲みながら、透を観察する。


「……クォーター……」


ぐぐっと眉を寄せる透の心の声は、漏れてるのが日常茶飯事。


「いや……んー……でも……」


透のぱっちりした瞳が急に薄目になり、口は不味い物でも食べたように歪んだ。


「……」


気持ち悪い顔しないで欲しいわ。せっかくの可愛い顔が台無しじゃないの。


「……宇宙人……?」

「バカじゃないの」

「何でっ!?」


透はビックリして怯えたように私を見つめているけれど、声に出してることに一体いつになったら気付くのかしら。


まあきっと、一生気付かないわね。


「本人に聞けばいいじゃない。キョウは聞かれない限り自分のことは話さないタイプよ」

「あー…そんな感じ。奈々は気になんないの?」

「気にならないのって言われてもねぇ……」


私、キョウの正体知ってるもの。なんて言ったらビックリするんでしょうね。