空が低く感じられる寒空の午後3時。


あたしはひとり、カバンを背負って屋上に向かっていた。


「ふぁ~……あーダルい」


欠伸と共に鈍い音を立てて開けられた、屋上に続くドア。冷たい風が肌を容赦なく突き刺す。


「さっむ! やっぱ冬に屋上はキツいなぁ……」


ていうか地面濡れてるし……寝転がることも出来ないね、これ。


雪が溶けて濡れた地面を歩きながら、校庭を見渡せるフェンスの前まで歩く。


「はぁ~…寒い……」


ブレザーにマフラーを巻いただけじゃ防寒とは言えないのだろうか……。


スカートの下から流れ込む冬の風が何より寒い。


夏は屋上が快適なんだけど、冬にサボれる穴場って中々ないなぁ……。


ブレザーのポケットに手を突っ込んで、ぼーっとしながら校庭から校門の方へ視線を移す。


――……ん?


眉を寄せ、目を細めてもう一度校門の方を見た。


「……ミニマムバージョン」


なんっじゃあの可愛い生物は!