「災難ねぇ。体育館中に響いてたわよ」


体育館に入った瞬間、即行で天敵つんちゃんに見つかりめちゃくちゃ怒られた。


「つんちゃんは文句言いたいだけなんだよ!」


やっとの思いで逃げてきたあたしは奈々の後ろに座って、ムスッとする。


「きっと昴たちにも聞こえてたわね」

「え……」


クスクス笑う奈々はあたしがショックを受けたのを確認して、前を向いた。


……やっぱサボれば良かったーっ!


つんちゃんとの言い争いを昴にも聞かれてたかもしれないなんて……。床も有り得ないくらい冷たいし、最悪。


後悔していると、校長先生の挨拶が始まった。


大して興味もないので2年生の列を見て、首を伸ばしプラチナの髪を探す。


すぐに、翔太とキョウと何やら楽しそうに話している昴を見つけた。


外見はどんなに王子様みたいでも、その姿を見ると、やっぱり昴は普通の男子高生なんだな……なんて思ってしまう。


かっこいい……。



『えー最後に、お知らせがあります』


全く聞いてなかった校長先生の話は、いつのまにか終盤に差し掛かっていた。



『今日から我が校に2週間、留学生を迎えます』


何気なく壇上に立つ校長先生を見ると、ザワッと生徒がどよめく。


……留学生?



『え~、アメリカからの留学生で、英語、日本語、中国語を話せる大変優秀な生徒なので、皆さん仲良くするように。では紹介します。……壇上へ』


袖幕に顔を向けた校長先生に、嫌な予感がした。



まさか……。


袖幕から出てきた留学生に度肝を抜かれたのは、きっとあたしだけじゃない。


色白で背が高く、長く細い手足を前後に進め壇上の真ん中まで歩くと、生徒たちの方を向いた留学生。


校長先生と一言二言話して、反応良く笑っている。


留学生は持っていたマイクを口元に運び、笑顔を浮かべた。