「とーるー! ごめんって!」
昼休み、食堂に向かうあたしの後ろを謝りながら付いてくる湊磨。
ムスッとしてるあたしを、奈々と大聖と忍は可笑しそうに笑ってる。
相手にせず食堂に入り、何を食べるか決めていると湊磨はしつこくあたしを呼ぶ。
「なあ! とぉる~……」
「もうっ! 分かったからもうしないでっ……」
振り向くと、目の前に究極の変顔。
「ぎゃははははは!」
――って違う!
「湊磨っ!!」
つい笑っちゃったじゃん!
地団太を踏んだあたしに、湊磨は腹を抱えて爆笑している。
「何なの!? 次また授業中に変顔したら本気で怒るからね!? 湊磨のバカ!」
「ごめんって! ほら、奢ってやるから機嫌直せよ」
「……あんかけチャーハン」
「ぶふっ! はいはいちょっと待って」
食堂のおばちゃんに声を掛ける湊磨を見ながら口を尖らせていると、奈々が突然あたしの頬を両手で引っ張ってくる。
「困ったわねぇ、透?」
「にゃにが?」
妖艶な笑みを浮かべて、奈々はパッと手を離した。
「別に?」
じゃあ最初から何も言わなきゃいいのに……なんて口が裂けても言えませんけどねっ!
奈々から漂う甘い香水の香りをクンクンと嗅いでいると、「透ー」と湊磨に呼ばれる。
「ほら。ごめんな?」
あんかけチャーハンを差し出して、湊磨はニカッと白い歯を見せた。
「透なんかに奢る必要なくね?」
忍の言葉と同時にあたしは湊磨からあんかけチャーハンを受け取る。
「まあ今日はやりすぎたし! でも透ってからかいたくなるんだよなぁ」
「ふんっ! 次は許さないからね!」
「奢れば機嫌直るわよ」
「ちょ、奈々さん……?」
それ、もっとやれって言ってますよね!?
「なにしてるの、トール」
みんなと立ち話をしていたあたしの耳がピクンと応する。振り向くと、水の入ったコップを持って昴が立っていた。
「昴っ!」
「ミンナ、あっちいるよ」
昴は流れるような動作で、自然にあたしのトレーを持って席に促す。
紳士で王子……!きゅん!



