「……7度5分か。下がったね。良かった」
体温計をテーブルに置いて、ベッドに腰掛ける昴に着替えを差し出す。
「着替えといてね。今お水と冷却シート持ってくるからっ」
すっかりぬるくなっていた冷却シートを額から剥がし、部屋を出てキッチンへ向かう。
冷蔵庫から水と冷却シートを取り出して、しばらく待ってから部屋に戻る。
「逆ですっ!」
部屋に入ると、昴はパーカーを前後逆に着ようとしていた。
フードの部分が前にあったら気付くでしょ普通……。
可笑しくて、つい笑ってしまう。
「はい。あとお水ね」
パーカーを直してあげて、コップにストローを差して手渡すと、飲み干してしまった。
のど乾いてたのね……。
「もうちょっと飲む? それとも寝る?」
足下に座って顔を覗くと、昴は首を振った。
「ヘーキ……」
喋った! もの凄く久しぶりに声を聞いた気がする……。
「じゃあ何か食べる?」
「ダイジョブ……」
そう言った昴はあたしの腕を掴み、不思議に思いながら立ち上がると、自分の膝の上にあたしを座らせて背中に抱きついてきた。
どひーっ!
「すっ……昴って後ろから抱きつくの好きだよねっ」
「ゴメンねトール……」
「へ!? 何がっ?」
心臓バクバクのあたしは、体が硬直したまま。



