掻き鳴らせ、焦燥。〜春風に舞う〜



「あの、是非一緒に……」



と云ってから、大慌てでベースを準備する。

アキトさんが「ゆっくりでいいよ」と声を掛けてくれて、「そっちに合わせるからさ、最近、何弾いてる?」と訊いてきた。


僕は目線を上にして、隠してもしょうがないと素直に好みを吐き出した。



「ええーっと、王道だとストーンズとか……」


「「おっ! イケるねぇ 」」



二人が顔を見合わせた。
アキトさんが続ける。