掻き鳴らせ、焦燥。〜春風に舞う〜



決して完成された音じゃないはずだ。
ボーカルもベースもいない二人だけの音。



それなのに……、どうしてこんなに胸がドキドキ五月蝿いんだろう?
自分が自分じゃないみたいだ……










「どうだった〜? カッコイイ曲でしょ〜?」



ナオヤさんの間の抜けた問いかけに、忘れた自分を取り戻し始める。