掻き鳴らせ、焦燥。〜春風に舞う〜



「突然にゴメンね。俺達ベース探しててさ。さっき、チョロっと聴こえてきた君の音があんまり良かったから、ゲンちゃんに頼んでおいたんだ。びっくりしたでしょ?」


「ああー、まぁ」


「だよね〜、アッキー直感で動くから〜」


「オマエにだけは、云われたくねぇ」



アキトさんの台詞に何となくだけど、頷いてしまいそうになった。



「うんっ。でも、オレもいい音って直感がしたよ〜」



なつっこい大型犬みたいな顔でナオヤさんが微笑む。
正直、嬉しかった。見ず知らずの他人に褒められるのも悪くはない。