アメリカの大学へ進学をした私は、この1998年の夏、全ての課程を終え、日本へ帰国することになっていた。どれだけ沢山の人間が、私のキャンパスライフに花を添えてくれただろう。そんな数ある花の中でも一際目を引く花、それがリンだった。溢れんばかりの生命力を持ちながらも繊細で凛として咲く花。例えるならば、大根の花、私は彼女に面と向かって、そう言ったことがある。

「どんな花だか知らないけど、野菜の花かぁ。それって褒めてるの?」
と言いながら、笑ったリンの顔も声も、昨日のことのように甦ってくる中で、リンのメモリアル・セレモニーは始まった。