園子の誘いを断って、一人布団にもぐりながら深夜の音楽番組を見つめる。 流行のバラードが眠りを誘って、そろそろ電源を落とそうかと思ったその時 「それでは、街で見つけた凄ミュージシャンのコーナーです!!」 無駄に明るい司会の声が私の手を止めた。 だってそこには…… 携帯からなのか荒い画質で撮られた映像の中にいたのは…… 地べたに座り込み、キーボードをかき鳴らす一人の影。 鮮明じゃなくたって分かる。 あの音色を出せるのは……春樹だけだ。