残された満は、ぽつんと道路に立っていた。

手持ちぶたさで、一人待たされた満は、行儀良く道路の端に立って待っていた。


知らない土地で、色々見たい欲求を抑え、教育された通りに「いい子」でいる。


満の心とは裏腹に、泥一つ付いていない革靴が、誇らしげに光った。



突然、頭に柔らかい感触と、重みを感じ、驚いて払いのけると、


「ゲロっ。」

と宙に飛ばされた大きなガマ蛙が怒りの声をあげた。


「うわぁぁーー!!!」


両手一杯程の大きさと、緑色の縞模様が描かれた体。


大きな瞳で、


「てめぇ何すんねん。」


と訴えられ、また一声


「ゲロっ。」


と鳴くと長いグロテスクな手足で地面を蹴り、遠くに行ってしまった。


何が起こったか分からない満は、わなわなと震え、ガマ蛙の感触が体に残り、目から涙が零れ落ちてきた。