「あ、あのさ、
メイド辞めてもいいとかってさ、満が勝手に決めていいことなの?
満のお父さんが決めたことじゃないの?」


「…………

お前が、うちに来ることを命令したのは俺なんだ。」


「え?」


「投資の話は、そりゃ会社の金だから、最終決定は親父なんだけど。

親父は、投資するのをためらってたみたいなんだ。

投資したって、持ち直さなければ、損失になるし、一種の賭けだった。

だけど、親父は日本にいることの方が少ないから、俺が一部経営握ってんだわ。


それで、お前をメイドとして家に置くことによって、お前の父ちゃんが嫌でもがむしゃらに働かせれば、投資しても大丈夫なんじゃないかって説得したんだよ。」



「そう……なんだ。
満が最初に言ってた奴隷って話、あながち外れてないね。
人質……だったんだ。


でもさ、金梨家の娘なら誰でも良かったんでしょ?」



満は真っ直ぐ前を見ながら、



「いいや。俺は皐月を指名したんだ。」



「え??」



今度は、あたしの方を向いて、



「俺、お前のこと知ってたんだよ。」



「え!??」