「分かったわ。
皐月が嫌じゃないなら、いいのよ。
それにうちには一億の借金があるんですもの。皐月には頑張って働いてもらわなくちゃ。」


お母さんは気丈に笑ってそう言った。


少し寂しそうだった。


ごめんね、お母さん。


ごめんね、皆。


いっぱい心配かけて、ごめんね?


いっぱいいっぱい愛してくれて、ありがとう。


あたし、頑張るから。


だから、もう少しだけ、


もう少しだけ……



「皐月、いいのか?」


満が問いかけた。


「うん。いいの!!
さて、早く帰らないと菊さんに怒られちゃう!
帰ろ?」


あたしは立ち上がって、満をうながした。



そして一人一人と抱き合ってお別れの挨拶をして車に乗り込んだ。


今度は、最初の頃とは違う。


自分の意思で金剛持家に行くんだ。


さよなら皆。


あたし、頑張るね。