FAKE‐LAKE

セティは黙ってアンジェの肩を掴んだ。何も読み取れない表情は不気味に見える。

「先生を信じた僕がバカだった! 二度と信じ……っ」

セティは暴れるアンジェの口を白い布で押さえつけた。どんなにもがいても離れない強い力。

麻酔薬を吸い込んだアンジェの瞼がゆっくりと閉じていき、ぐったりと力無くセティに寄り掛かった。

「何の事だ?」

不審そうに尋ねる博士にセティはにこやかに答える。

「錯乱して誰かと間違えたんでしょう。しばらく眠っていてもらいます」

セティはアンジェの止血をし、研究室の台に寝かせて麻酔を打った。

博士はずっとアンジェの方を見つめているレイの肩を掴む。

「大丈夫だ、アンジェは助かる。だからお前は約束通り何でも従うんだぞ」

レイはこくんと素直に頷いた。博士に連れられるまま研究室に入る。

「こんなに効くのなら最初からアンジェを連れて来て脅せばよかったか」

セティは目だけを上げて博士の様子を伺った。