FAKE‐LAKE

「そういえば」

マスターは思い出したように言った。

「リアレスクに行くなら市も見に行けよ」

「なんで?」

美味しい物売ってるの? と、アルは小さく首を傾げる。

この食いしん坊め、とマスターは笑った。

「週に一度、『アレン・ウェッジウッド』って画家の絵が売られてるんだ。知らないか? ソニアの美術館に一枚絵があって」

「アレン?」

「え、知らないのか? 何気に有名なんだぞ」

少し変わり者らしいけど、とマスターは声を潜める。

「絶対人前に姿を見せないらしくていろんな噂があるんだ。絶世の美男子だとか反対にものごっつい太っちょだとか」

太っちょ、と呟いてアルは笑った。

「でも彼の絵はすごく優しいんだ。しかも才能あるのに、市で売る絵は誰にでも手の届く値なんだって」

「へぇ、面白い人だね」

絶対見に行こう、とアルは一人頷く。