FAKE‐LAKE

ニールは立ち上がり、俯いている教授にきっぱりと言った。

「おれ、相当失礼な事言ってるかもしれない。でも、おれはあんたの事信じてるから言うんだ。期待を裏切らないでくれよな」

教授が顔を上げた時、バタンと扉が閉まってニールは部屋を出て行った。




「謝らないで下さい」

目が覚めたアンジェは、何度も謝る教授に感情のこもらない声で答えた。

「あなたが僕を博士の手から助けて下さったのは事実ですから」

すまない、と教授は膝をつく。窓の外を見ているアンジェの息が震えた。

「謝るくらいなら弟を返して下さい」

ニールはアンジェのそばによった。栗色の大きな瞳に涙が溜まる。

「僕をさらった事も兵器にした事も、騙して優しくしてた事も全部全部許すからレイを返して」

最後に見たレイの姿がアンジェの脳裏を過ぎった。

ひどく痩せた姿。傷だらけの体。奴隷のように縛られた腕、痣だらけの顔……

思い出すうちにだんだん不安定になってきて、アンジェは狂ったように叫んだ。