FAKE‐LAKE

「おじさんどこか行くの? お仕事?」

アンジェは食べる手を止めて聞いた。純粋に自分を信じているその瞳に教授の胸が痛む。

「……うん」

「すぐに帰ってくる?」

「すぐは無理かな……」

教授の返事にアンジェは寂しそうな表情を見せた。また独りになるのか。

不安になったが、聞き分けのいいアンジェは笑顔で教授に言った。

「気をつけて行ってきてね。僕、おじさん帰ってくるのずっと待ってるから」

「ありがとう」

教授の心中は複雑だった。いつかアンジェが真実を知ったらどう思うだろうか。

「それで、何が欲しい?」

きゅっと唇を結び、アンジェは俯いた。もともと自分から何かをせがむ事をしない子だ、遠慮しているのだろう。

そう思った教授はアンジェの顔を優しく覗きこんで言った。

「どうした? 本当になんでもいいんだよ」

首を横に振り、アンジェは顔を上げずに小声で言う。

「無理だから、いい」