FAKE‐LAKE

「答えてください。博士は今どこにいるんですか」
 予想外の出来事にうろたえている兵の腕を、アンジェは容赦なく撃ち抜いた。
「心臓を狙われたいですか」
 動揺の余り質問に答えない兵を、アンジェは丁寧な口調で脅す。構えられた左手に、命の危険を感じた彼らは慌てて答えた。
「わかった言うよ! 博士はえ、F基地に」
 満足そうにアンジェは微笑み、化け物だと呻いている二人に言った。
「連れていって下さい」
「なっ」
「連れていけ、と言ってるんです」
 ふふ、と口許で笑うアンジェの表情は狂気を帯びていた。
「博士が怖い? CORD-Aを見つけたと言えばあなた方には何の問題も無いと思いますが」
「嘘だ、印が無かっ……」
 兵の一人が肩を押さえて膝をつく。呻く彼を支える兵の右腕に弾丸と化した鉛筆が食い込んだ。
 アンジェは一歩ずつ二人に近づく。
「ぐずぐずしていたら容赦なく心臓を撃ち抜きます。連れていってもらえるんですよね?」
 怯えたように寄り添う大人二人を見下ろして、アンジェはくすくすと笑う。
「と言っても、」
 そこにいるのは穏やかな絵を描く十五歳の少年ではなく、憎しみに駆られて暴走する人間兵器だった。
「武器を持っていないあなた方に、選ぶ自由はありませんけれど」