FAKE‐LAKE

「もう一度チャンスをやる。今度こそ綺麗に忘れて新たな記憶を覚えるんだ」


 絶叫が狭い部屋に響く。
 記憶を消す――正確には思い出せないようにする――作用のある、脳を侵す薬を過剰に飲まされたレイは、あまりの苦しさに閉じ込められた部屋でのたうちまわった。
 助けて。誰か助けて。
 毒を飲まされたかのように苦しくて息が出来ない。指先から感覚が次第に麻痺していく。
「――っ、……はぁ、っ……うぐっ……」
 激しい頭痛と吐き気。レイは突き上げるような嘔吐を繰り返した。
 お願い。助けて。
 お願いだ、誰でもいいから僕を助けて 助けて 助けて 助けて 助けて――


 割れそうに痛む頭を抱えて喘ぎ苦しむレイ。その姿を、非常灯の薄暗い明かりがぼんやりと浮かび上がらせていた。