FAKE‐LAKE


 眩しい太陽が地平線との距離を縮めはじめ、ほんのりと空を赤く染め始めた頃、ニールは帰り支度をしながらアンジェに言った。
「そうだアンジェ、おれ今週の休みにバイト入ってさ。来週の配達まで来れないんだ」
「そうなんだ。うん、分かった」
 頷くアンジェの後ろで寂しそうな表情をするレイを見て、ニールはニヤリと笑う。
「レイ、寂しいんだろー」
「寂しくないもんっ」
 レイはぷいっとそっぽを向いた。ニールは素直じゃないレイの頭をぐりぐりと撫でて言う。
「バイト代入ったら、なんか買ってやるよ」
「え、ほんと?」
 目をキラキラさせてレイは聞き返した。
「うん。だから二人とも来週まで欲しい物考えとけよ。何でもって訳にはいかないけど」
「いいの?」
 遠慮がちなアンジェにニールは胸をはって答える。
「もちろん。おれ、二人の兄ちゃんだからな」
「兄ちゃん!」
 レイは嬉しそうにぱちぱちと手を叩いた。
「すごい! 僕、二人も兄ちゃんいて嬉しい!」
 何か買ってもらえる事より兄ちゃんがいる事を喜ぶレイの笑顔を、アンジェは優しい表情で見ていた。