FAKE‐LAKE

「レイはね、そのままでいいんだよ」
 ソファーに座り黙って絵を描いていたアンジェが、ふと口を開いた。
 驚いたようにレイはぱっとアンジェを振り返る。
「レイの髪の色、僕は好きだよ」
 アンジェは優しく微笑む。口に出来ない自分の心を分かってくれているその言葉に、レイは思わず涙ぐんだ。
「おれも!」
 ニールは大きな声でアンジェの言葉に賛同する。
「おれなんかレイのふにふに頬っぺもちっこいとこも全部好きだもんねーだ」
 仲間と張り合う小さい子のようにニールはアンジェに対抗し、レイに後ろからがっしりとしがみついた。
「重たいよ、ニール! しかもちっこいとか言うな!」
 ニールのぐりぐり攻撃に抵抗しながらも嬉しそうな表情のレイにアンジェは言った。
「レイはレイでいいんだよ。だから、そのままの、ありのままの自分を大切にしてあげて」
「うん、そうだね……ありがと」
 レイは嬉しそうに頷く。
「あー、アンジェずるいぞ! いい台詞全部もってくなんて。おれにも少し分けろよ」
 ニールは冗談半分本気半分で口を尖らせた。アンジェはまたあの純粋そうな笑顔でにっこり笑う。
「よし、罰としてレイをくすぐってやる」
「うぎゃああ!!」
 ニール訳わかんない、と叫ぶレイの笑い声と楽しそうな二人の『兄』。
 その姿を遠くから見張っている黒い存在に、三人は全く気づいていなかった。