FAKE‐LAKE


 ◇ ◇ ◇


「また帰らず、か……」
 セティの部屋の前で廊下に座り込んでいたアツキは、天井を見上げ一人呟いた。
 あれから何度もセティの部屋を訪ねている。この間の事を謝りたくて。
 しかし、毎回空振り。謝るどころか顔を合わせてさえいない。
 セティはいつも長期間留守にする時は部屋に鍵をかける。つまり鍵がかかっていないという事は、家に帰って来ているのだ。
 しかし、避けられているのかという程すれ違う。どこかに監視カメラでもついているのだろうか、と思ったりもした。
 日にちが経てば経つほど謝りづらくなる。そう思ったアツキはセティの部屋の前で昨日の夜から張り込んだ。結果はやはり空振り。
「何してるのアツキ」
 一晩中起きていたのでさすがに眠たくなり、うとうとしていると頭を小突かれた。リーナだ。
「えーと……セティ博士の入り待ち?」
「何それ」
 しかも疑問形だし。
 そう言ってリーナは楽しそうに笑い、カゴを持ってセティの部屋へ入って行った。