公園を出る静佳を遠くから見送った。

胸がなんとなく痛い。

今まで感じた事のない痛みに正直、戸惑う。

万桜は何も言わない。

小さな万桜が、もっと小さく見える。

「…静佳さんて、まだヒロ先輩の事好きだったんだね。」

やっと口を開いたと思ったら…。

「そう…みたいだな。」

「アタシ、聞きたくても聞けなかった。」

「なに…を?」

何の事か予測もつかない。

万桜が聞きたかった事ってなんだよ?

「どうして静佳さんが会いに来たのか、本当は聞きたかったの。否定して欲しかったの。まだヒロ先輩の事好きだからじゃないかな、って不安な思いを。」

万桜、泣いているのか?

声が段々小さくなる。

「嫌われたらどうしょうかと、思って聞けなかった。」

…なんだ。

そうか。

そんな事か。

俺の不安も、飛んでいった。

俺の事そんなに好きじゃないかって、不安になっていた。

「バカだなぁ万桜は。俺が万桜を嫌いになるはずないだろ。」

手を強く握り締めた。

「万桜は俺の事、嫌いになった?」