直線的にその人は歩いて来る。
「…姉貴?」
小さく呼んだが、聞こえてはいない。
あと5、6歩で目の前という時だった。
その人は肩からバックを外し両手に持ち替えたかと思うと―――。
叩かれる、そう思った時にはバンという鈍い音と共に、頭に痛みが走った。
「キャ…。」
勢いに押され、アタシは見事にお尻を地面につけてしまった。
鈍い痛みと恐怖。
座り込んだまま、両手で頭を抱えた。
一瞬おいてから、美華さんの声がした。
「ちょ、ちょっと姉貴!何しんの!」
その声がよく聞こえないほど、アタシの頭に、手に何度もぶつかるカバン。
怖くて、動く事さえ出来ない――。

