『元カノ』の出現で、アタシの中に出てきた、フワフワしたモヤモヤした思い。

それは『嫉妬』というものらしく…。

初めての胸の痛みになかなか落ち着かない。

亜子は不思議そうに聞いていた。

「前の彼とはそんな事なかったの?」

アタシはこう答えた。

「え、だってお互い初めて付き合った相手だし。」

「ふうーん、そうなんだ。」

あ、だから分からなかったのかな?

潤くんには元カノなんていなかったし。

アタシ達には波風なんてなかった。

ケンカする事はあったけど、いつも潤くんが大人の態度で丸く治められた。

子供扱いされているのは分ってたけど、それが心地よかったりもした。

…これからどうなるんだろう。

不安だった。

♪~♪~♪~♪~♪

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「万桜!。」

不安をかき消す、愛しい声。

「ヒロ先輩!」

大丈夫!

言ってくれた。

『万桜だけ』だって。

信じられるよ、ヒロ先輩の事。

だって、声だけで安心する。

…でも、一番聞きたくて、聞けなかった。

どうして、今さら先輩に会いに来たのかな?

まだヒロ先輩の事、思っているんじゃないですか?って。