「…行く、だろ。」

「はい…。」

迷いながらも、OKした。

約束した覚えあるし…。

そうだ!!

確か、全国大会の時に…。

『大会が終わったら映画行かない??今度は二人っきりで。』

その時の風景が思い出された。

「何の話??」

電話が終わったのか、ヒロ先輩がアタシと旬磨先輩の間に割り込んで来た。

「俺、明日万桜とデート。」

「あぁぁぁっ!!何ソレ?!」

嫌という程、眉間にシワを寄せるヒロ先輩。

「…冗談、だろ??」

アタシを見る。

「………。」

「約束してたんだ。」

旬磨先輩はといえば、何だか得意そうな顔。

「俺も行くよ!!」

「だ~め、二人で行くからデートに決まってるだろ。それにヒロ明日、実家帰るんだろ。」

そうだった。

明日は土曜だから、午前中の練習が終わったら久々実家に帰るって言ってた。

「あーそうだった!!旬磨お前…、俺がいない時に!!
嫌がらせか!?」

旬磨先輩はニヤニヤしながら腕組みなんかして、聞こえないフリをしている。

「な~万桜!!」

子猫のような甘えた声でアタシの肩に手を置く。

「………フッフッフッ。」

何だか可愛いヒロ先輩にアタシは我慢しきれず、笑い出してしまった。