「…あ?誰?」

ヒロ先輩が一瞬立ち止まる。

間違い…電話かな?

気になりながらも、アタシと旬磨先輩はそのまま歩き続けた。

アタシ達が先を歩いて、ヒロ先輩が一人遅れて歩く。

「万桜。」

旬磨先輩がニコニコと見つめる。

「はい…??」

「明日さ、映画行こうか。」

「映画、ですか??」

「約束したろ。大会終わったら一緒に行こう、って。」

映画…、約束…??

したかな??

したような…。

「明日、練習終わったら、二人で行かない…かな。」

えっ?!

ふっ、二人で…ですか??

ヒロ先輩の事ばかり考えていたアタシは、いきなりの誘いに迷ってしまった。

でも旬磨先輩にも、ヒロ先輩を好きな事きちんと伝えなきゃ…。

あ、いや、ヒロ先輩に気持ちを伝えてから…??

付き合えるとは限らないし。

だからって…、アタシの気持ちは変わらない!!

ヒロ先輩にフラれたから、アタシを好きって言ってくれた旬磨先輩を好きになるって事はないから。