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「だから~。」

夜の電話でも、昼を一緒に食べる談義?に花を咲かせている。

「いいじゃん、俺ら付き合ってるんだし!」

電話の向こうで小さくウンと万桜は言った。

「気にすんなって。そのうちみんな気にしなくなるからさ~。」

なんとか食い下がる。

だって、学年違うんだし部活以外で万桜と一緒に居られるチャンスは食堂しかないだろ。

「でも、やっぱり恥かしいよ~。」

泣きそうな顔が浮んだ。

「ホントに万桜…可愛いなぁ。」

心の底からそう思った。

「もうヒロ先輩ったら!」

今度は怒った顔。

クルクル変わっているであろう、万桜の表情がまた浮ぶ。

「ま、そんな万桜が好きなんだけど。」

俺ってこんな男だったろうか?

彼女に『可愛い』とか、今まで言った事あったかな?

交渉は上手くいかず、とりあえず週に2回一緒に昼を食べるという、変わらない結論に辿り着いた。

万桜って意外と強情だ…。