昨日の今日で…恥かしい。

今日先輩に会うのは、ここで初めてだった。

「ここ空いてるよな?」

ラーメンとチャーハンがのったトレーをアタシの向いのテーブルに置く。

「?」

え、ここで食べるんですか?

周りの視線が集まっているのが感じられた。

「先輩、ここは一年生の――。」

「万桜!」

亜子がブレザーの端を引っ張った。

「いいのよ万桜!付き合ってる相手同士は一緒に食べてもいいの。ほら。」

耳元で囁く亜子は隣りの列を指差した。

野球部のキャプテンと一年生の彼女。

ホントだ…一緒に食べてる!

「ね。」

それを確認したアタシにまた念を押す。

そうなんだ。

知らなかった…。

この学園は女の子が喜ぶ『きまり』が多いなぁ。

学園が決めた『きまり』じゃないだろけど、少ない恋人同士にとっては嬉しいはず。