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旬磨の部屋へ向う。

頭の中はぐるぐると考えが回る。

なんて報告したらいい?

ちゃんと言えるかな、俺…。

コン、コン…

「俺。ヒロだけど。」

「入れば~。」

旬磨の声。

中へ入ると、ベッドの上で仰向けでサッカー雑誌を読んでいた。

「どうした?彼女でも出来た顔して。」

口許だけが、動いた。

緊張していた俺に、そんな言葉を投げ付けてきた。

そうか…。

旬磨は分ってるんだな。

万桜の気持ちも、俺の気持ちも。

勝手に机のイスを引いて座る。

「まぁ…な。」

次の言葉が出なかった。

『悪いな』じゃないし『ありがとうな』も違う。

「…良かったな。」

旬磨は体を起こし、雑誌を閉じまっすぐに俺を見た。

俺は小さく頷いた。