~万桜~
震える手に、暖かさが伝わる。
ヒロ先輩の大きな手。
今日、手袋してなくて良かった。
『今日から俺の彼女な。
俺だけの万桜な。』
そう言ってくれた。
嬉しくて嬉しくて、何度も頷く。
アタシでいいんだよね、ヒロ先輩。
「寒いから、行こうか。」
しっかりとアタシ達は繋がっている。
寮はもう見えていた。
寒くなんてないよ。
心も体も、あったかいよ。
この道が永遠に続くといいのに。
「俺さ…万桜が旬磨の事好きなんじゃないかって、ちょっと思ってたよ。」
え??
旬磨、先輩を??
「どうして、ですか??」
「最近、仲良かったろ。ほら、二人で映画に行ったり。」
ヒロ先輩は頭を掻く。
「あ、実は…。」
旬磨先輩は、アタシがヒロ先輩を好きだって気付いていた事、気持ち伝えろ!!と言ってくれた事を話した。
「じゃあ今日は旬磨が…。」
ふっ、と笑う。

