「帰ろうか!」

いつものように待っていてくれる。

ヒロ先輩と旬磨先輩。

「お疲れ様でした!!」

「久々の練習で、疲れた~。」

旬磨先輩は首を回し、コキコキと鳴す。

並んで歩く、いつもの風景。

左側にヒロ先輩、右側に旬磨先輩。

アタシはいつも守られている。



旬磨(しゅんま)先輩も、アタシを好きって言ってくれた。

サッカー部のキャプテンで口数は少なくて、女の子に愛想がないけど…本当は優しくてあったかい人。

迷子になったアタシを『…ったく』とか言いながら、寒空の中半袖で飛んで来てくれた。

最初はアタシの彼だった潤(じゅん)くんに声が似ていて、かえって意識しちゃって告白されたのにヒドイ事言っちゃった。

でも出合った頃は色んな想いがあって、アタシは辛かった。

潤くんもサッカー部のキャプテンだったから。

潤くんは二つ上の三年生で、アタシの転校が決まってきちんと話さないで、離れ離れになってしまった。

10番の背番号。

アタシが転校するまで、まさか別れる事になるなんて考えてもいなかった。

大好きで、大切で、世界で一番愛しい人だったから。