万桜はゆっくりと俺の前まで来た。

「万桜…。」

久し振りに声に出して呼んだ名前。

愛しい人の名前。

万桜はただ不安そうに俺を見上げた。

「ちょっと~何ですかぁ?」

梓の声が現実へ引き戻す。

万桜の隣りに並び、真直ぐに梓を見た。

「梓、ごめん。」