彼女は制服のまま腕組みをして、少し開いた足はトントンとリズムを刻むように動いている。
「…あれ、久保さん部活これから…?」
彼女から放たれているオーラを察し、アタシは一生懸命笑い顔を作る。
「ちょっといい?」
アタシの問い掛けを見事に無視して、歩き出す。
そして木陰で足を止める。
「ねぇ、ヒロと別れてくれない?」
振り返った彼女の口からでた言葉。
いつもとはかけ離れた、キツい言い方。
ヒロ先輩に話すような大人っぽい外見には合わない、甘えたような話し方ではない。
アタシに言い放った言葉は、その外見とピッタリと重なった。
「ねぇ、聞いてる?」
年齢も立場もまるで逆になっていた。

