それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~



いつもの帰り道は、変わりなくヒロの隣りで万桜が嬉しそうに笑っている。

部活の話題は三人共意識して話さないようにしているのが見え見えだ。

万桜と別れた後、思い切って話を振ってみた。

「ヒロ、お前このままで…いいのか?」

それだけで、俺が何を言いたいか分っているようだ。

「あぁ、分かってるよ。でも今だけだと思ってるんだ。梓は俺しか頼れるヤツがいないみたいだし。」

「ふうーん。」

「万桜も分ってくれてるし、もうちょっとだけ迷惑かけるけど…。」

「本当にそうか?」

「え?」

ヒロの足は止まったが、俺は構わずに歩き続ける。

「万桜だって心の中じゃ不安なんじゃないのか?」

「……。」

ヒロは何も答えない。

分ってるんだろう、きっと。

それでヒロも、もがいているんだろう。

今の状況に。

でも、ヒロが悪者を買って出る事はないんじゃないか?