彼女の口からどんな言葉が出て来るのか、予想さえ出来ない。
さっきまでのイライラが消え、内心ドキドキしている。
俺の意識は、後ろにいる『さかしたまお』にあった。
彼女が気付かないように、階段の踊り場に誰もいない事を確認した。
そして二段目に座る。
彼女はうつむきがちに、俺に付いて来ていたようだ。
腹の辺りで、手を重ねて。
「とりあえず…座ったら。」
「……。」
「俺、首痛くなるワ。」
「……はい。」
彼女は一段目に座った。
俺から離れて。
座る時、スカートを尻の下にたたみこんで。
チラリと見えた白いももの足辺りが斜めを向き、妙に色っぽい。
彼女は今どきの子じゃない。
生足を出しているのを見た事はない。
冬はハイソックスを履いたり、寒い日は帽子なんて被って。
『髪型崩れる~』なんて絶対に言いそうにない。
きっとしっかり者なんだろう。
見た目の可愛らしさや華奢(きゃしゃ)な体付きとは違って。
ぼんやり、そんな事を考えていた。