万桜は口許に手を当て、何度も瞬きしていた。

「万桜…?」

俺はさっきまで三浦先輩が座ったいたイスに座った。

「冷めちゃうぞ、早く食べよう。って俺のカツ丼は?」

「ぶっ。」

「あはは。」

万桜とアコチャンは同時に笑い出す。

「忘れ物~。」

目の前にアツアツのカツ丼を届けてくれたのは元だった。

「格好良かったよ~ヒロ。」

元はニヤニヤしながら、俺の隣りに座る。

「なぁ万桜ちゃん。」

そして万桜に同意を求める。

「うん…。」

目を細めて、ちょっとうつむく万桜。

愛しいその存在。

「注目の的だったぞ。」

旬磨も隣りに座る。

「あぁ、悪かったな。」

「俺に謝らなくてもいいし。」

万桜をチラリと見て、スポーツドリンクを飲む旬磨。

「早く食べよ!」

元が万桜を促す。

元は場の空気を読み、いつも和ませ笑わせる。

「はい!」

万桜は冷めてしまったハンバーグに箸を付けた。