「あの子は後継者としての自覚を持っているわ」

「――そうかな。それならなぜ、誠司くんは月島から離れて、別の会社に行こうとしているんだ?」

「それは………」


破り捨てられた、誠司の退職届。

社長はそれを見つめ、言葉に詰まる。


「姉さん。月島を守るために、いろんな手段を使っていたようだけど……」


副社長の視線が、ちらりと私に向けられた。


「そんなんじゃ、月島はいつか終わってしまう。事が起きてからじゃ、遅いんだよ。未然に防げたからいいものを……」

「――なに……? どういう意味……?」


不可解なことを淡々と述べながらも、副社長は深刻な顔をする。

そして、興奮したように問いただす社長に、副社長はきっぱりと言った。