翌朝、と云っても昼近く。 目が醒めて、珍しく夢を見たのだと覚えていた。 「ほとんど、ナオヤしか見てなかったのに……」 昨日のライヴハウス。 一番後ろで壁にもたれて、聴いていた。背中に伝わるバスドラのリズムが内臓を駆け巡る。それに合わせて、鼓動が高鳴る。 見えていないはずのアキトが見える…… 激しく叩き響かせる、その合間に昨日の笑顔はない。 それなのに、夢の中ではずっと……あの煙草の匂いが取り巻いて心地が良かったんだ。