落下点《短編》

パソコンに大量に閉じこめられている、一瞬の輝き。

あたしたちはどんな風に笑い、どんな風に過ごしてきたのだっただろう。

サチの間延びした口調はメールでも変わらない。

来週の予定を手帳で確認すると、短い返事を打って返した。





帰宅してから、あたしはデータを移してカメラ屋さんに現像しに行くことにした。

そこは割と遅くまで開いていて、その日中に受け取ることができた。

ずっと溜めすぎていたからか、どうしても現像料は結構いい値段になってしまう。あたしのお財布がちょっと寂しくなる。


お米を炊くのは時間がかかって面倒だったから、夕食はパスタにでもしようかとお湯を張る。

冷蔵庫には鶏肉とシメジがあったし、それも加えればいい。

パスタを茹でている間に、あたしは現像してきたばかりの写真を見ることにした。一緒に買ってきたアルバムに、一枚一枚写真を移す。



…懐かしかった。

笑顔が幼い。髪型がずいぶん違う。


片手では掴めない、たくさんの写真。


色とりどりの。冬から春へ、春から夏へ、夏から秋へ。

少し幼いあたしたちが、今のあたしに笑いかける。


…一番最初の写真は、去年のクリスマス。陣ちゃんにもらいたてのデジカメで撮った、イルミネーション。

陣ちゃんの写真が一枚、あたしの写真が一枚。ツーショットは無かった。

本当はツリーの前で誰かにシャッターを頼みたかったのだけど。あたしたちはなんだか、他の人に二人で撮ってもらうのが気恥ずかしくって、言い出せなかったのだ。


…黒が多い写真から、一面のピンクに切り替わる。

桜。真昼にお弁当を作って行ったお花見、酔い醒ましにぶらりと見に行った近所の公園の夜桜。

その明け方。陣ちゃんちに泊まった帰り、陣ちゃんがチャリにニケツで家まで送ってくれた道の上に咲いていた、通りすがりの河原の桜。


夜明けの薄い光に、花びらが淡く透けていた。


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