青年は空から無数に降り続ける雪を眺めた。



「(僕は・・・完成させた。)」



目つきが鋭くなる。




「(あれは僕の『オリジナル』。誰かが僕の研究を盗んだに違いない・・・・)」



よく考えれば確かに隙だらけだった。


研究に熱中しすぎて窓のカーテンだって閉めることを忘れた。寝てるときでさえ、もだ。


多少の知識さえあれば、こちらの実験データも、技術も盗むことが可能。自分は誰かの研究になんて手を出そうとは考えもしない。




信条はあくまで『オリジナル』



それは一生考えても誰も見つけ出す事のできないもの。先に見つけた、とかそんなレベルで流されてはいけないこと。





「畜生・・・!」



レンガの壁に拳が当たる。


弱かった部分だけがもろもろと崩れ落ちた。






「おいおい、何かに当たるのは良くないぜ。」



不意に後ろから声を浴びせられた。



眉間にシワを寄せつつ、その声の主を振り返る。

そこに青年と年齢はほぼ変わらないであろう、人物が一人。明るすぎる金髪が真っ白な世界でよく目立った。

ただ、一見ただの軽い男のようにも見えたが、どうやらこちらも白衣を纏った研究者らしい。




だが、青年には見覚えの無い人物であることは確かだった。



だが、向こうは構わず言葉を続ける。



「へへ。随分と荒れてるな・・・ってそれもそうか。自分の研究がそっくりそのまま別の場所にあったんだからな。」




青年はその言葉にふと引っかかりを感じた。



「どうして・・・それを知ってる?・・・・・・お前、まさか・・・・ッ!!」





青年はその一瞬で我を忘れ、相手に掴みかかった。


それでも男は笑みを浮かべたまま。